【就活】企業分析 航空会社編 JAL,ANAから外資LCCまでグラフで説明【財務,経営分析】
今回は有価証券報告書から航空業界の企業分析をしてみたので共有したいと思います。
景気的に厳しい時期ではありますが、参考になれば幸いです。
比較する企業は国内大手2社の日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)と
海外LCCのAir Asia、Southwestです!
※2019年3月までの有価証券報告書から分析しています。
大手2社売上比較(JAL,ANA)
JALとANAの2017年度と2018年度の収入比較です。

収入の規模を比べるとANAに軍配があがります。
感覚的にもANAの方が運行路線が多いイメージがあるので納得です。
それでは以下で2社について細かく分析していきます!
日本航空 JAL
JALの事業内容
JALの事業内容は基本的に旅客事業です。
ホテル事業などは経営破綻後に外部へ切り離しています。
航空運送事業-航空輸送 |
空港旅客サービス-搭乗手続き、運行補助業務など |
グランドハンドリング-航空機の誘導、手荷物、貨物の搭載など |
整備-航空機関連の整備 |
貨物-貨物、郵便の取り扱い |
旅客販売-電話による予約受付 |
空港周辺事業他-機内食調整など |
JALの財務分析

JALの資産状況です。
流動資産(現金化しやすい資産)が37.5%と負債と同程度確保されているため健全性は高いといえます。
自然災害や新型ウイルスなどに備えて2.5か月分の現金を備えていたことからANAよりも新型コロナウイルスへの影響は抑えられているのではないかと推測できます。

続いて損益分析です。
JALの営業利益率は約12%となっており昨年までの経営は比較的順調であったといえます。
しかしこれからコロナウイルスの影響がどれだけ経営に影響を及ぼすのか注視したいと思います。
JAL国内・国際線比率

JALの売上は国内と国際線が半々になっています。
国内線を細かく見てみるとアジアオセアニア45%、米州39%、欧州16%となっています。
国際線ではアジア、アメリカ方面が主力と言えそうです。
JAL使用機材
経営破綻前後にダウンサイジング(機材小型化)を行った影響もあり小型機・中型機が4分の1を占めています。

全日本空輸 ANA
ANAの事業内容
ANAの事業内容は航空事業が主ですが、一部商社事業や旅行事業も行っています。
航空事業-航空事業 |
航空関連事業-空港での各種サービス |
旅行事業-旅行商品等の企画販売 |
商社事業-航空関連資材の輸出入、店舗通信販売 |
その他-ビル管理、人材派遣など |
ANAの財務分析
ANAの資産状況です。
JALと比べると流動資産割合が小さく固定負債の割合が大きいことが分かります。
JALよりも安定感は欠けますが悪い状況にはないと考えられます。
新型コロナウイルス発生後は、現金保有額が小さい影響で日本航空よりも早期に借り入れを行ったようです。

続いて損益分析です。

営業利益率は8%とややJALよりも低めですが、経営状況は悪くはなさそうです。
新型コロナウイルスの影響が懸念されます。
ANA国内・国際線比率
ANAの国内線、国際線の比率です。

ANAは国内・国際線はほぼ同じ比率ですが、国際線の割合が若干大きいことが分かります。
ANAの使用機材
ANAの使用機材です。
ANAもJALと同様にB747の退役などでダウンサイジングが進み、小型機・中型機の割合が大きくなっています。

国内大手2社まとめ
・売上高ではANAが勝るが、JALはANAよりも利益率が高い。
・JALの方が財務状況に余裕があった。(コロナショック前)
・2社とも国内線と国際線の比率が半々で、機体のダウンサイジングが進んでいる。
・収益構造はほぼ同じ
おまけ:LCC分析
LCCについてもマレーシア、アメリカ本社の財務諸表からデータを取って分析してみました。
エアアジア
エアアジアは負債の割合が過半数を超えていますが、流動負債には流動資産で対応できそうです。
利益率は10%程度と悪くないです。


Southwest
アメリカのサウスウエスト航空も負債の割合が大きくなっています。
利益率は13%と良いのですが、負債が大きく少し安定感に欠けます。
サウスウエスト航空の特徴は他社に比べて売上原価が低いことです。
理由としては短距離路線が多いため、コストのうち燃料費の割合が小さいということが考えられます。


まとめ
航空業界について軽く企業分析してみました。
業界理解の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!